生姜焼きについてあれこれ考える【歴史編】

生姜部だより第2号 2009年8月28日

生姜焼き。ただ焼くだけのシンプルメニューなのに、なぜにこれほどまでに奥が深いのかーー お店の味も、家でつくる味も、実に多種多彩、食べれば食べるほど興味が尽きません。生姜焼きの魅力を解き明かすべく生姜部だより編集部内に発足した「生姜焼き部」が、さまざまな角度から生姜焼きを研究してみました。

 

日本人はいつから生姜焼きを食べるようになったのか

   私たちの食卓に欠かせない生姜焼き。日本人はいつから生姜焼きを食べるようになったのでしょう。その歴史について、料理研究家の高城順子さんにうかがってみました。

(写真)高城順子さん

 

  中国や、中国と交易していた沖縄では、豚肉料理のバリエーションが豊富なことからわかるように、豚肉料理自体は中国から伝わり、江戸の終わりから明治の初め、長崎の出島から日本に入ってきたと考えられます。そのとき生姜焼きがあったかどうかはわかりませんが、「豚肉が一般の食卓に上るようになったのは、おそらく大正時代、関東大震災後に養豚が始まってからだと考えられます」と高城先生。

 

  では、豚肉と生姜がいつ結びついたのか……。年代を特定するのは難しいようです。ただ、ルーツとまではいかなくても、なんとなく関連しているのではと推察されるのが、生姜焼きに類似した料理で、関西でポピュラーな「くわ焼き」の存在。醤油とみりんのたれにつけた肉や野菜を鉄板で焼いたもので、「くわ」とは文字通り、田畑を耕す「鍬」のことです。農作業の合間に野鳥をつかまえ、鍬の後ろ側で焼いて食べたのが始まりと言われていて、肉は鶏肉や鴨肉を使います。

 

  くわ焼きのように、豚肉を甘辛く焼いて食べるときに、肉のくさみを取るために生姜が使われた、と考えるのが一番理にかなっているようです。くさみ消しのほか、生姜には殺菌や消化もよくなるという作用があって、豚肉と生姜ははまさにベストな組み合わせといえます。

 

  一方で、日本風にアレンジされた「洋食」には、バターの風味の「ポークソテー」があります。
「ポークソテーはナイフとフォークで食べるごちそう。そのごちそう感のある厚切りのお肉を使って、ごはんに合う庶民的な味に仕上げたのが生姜焼きです。ごはんに合うことからお箸でも食べられるように、薄いもの、小間切れのもの、というように変化していったんじゃないかしら」と高城先生は推測します。

 

  比較的安価で、調理もしやすく、食欲もそそる生姜焼き。定番メニューになるのも当たり前といえるでしょう。

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